真詩 4
【歩道橋】
声には
万華鏡のような
世界のそれぞれの
おとがすべて
こめられている
例えば歩道橋で
あたたかい気持ちに
なったなら
それはあなたを
愛する者の
はるかな声
【旅】
旅に出たいなあ
トマトとニンジンだけ持って
いや
なにもいらない
旅に出るのに
旅以外に必要なものなんてないのかもしれない
旅に出たいなあ
【遠い声】
猫が呼ぶのは
僕じゃない
はずなのに
なぜ声が
届くのでしょうか
【人知れず】
今朝あなたより先に
泣いたのは
窓
だったのかも
しれないのです
【そら】
存在は
いつまでも
存在しないでいつづけることなど
できないのでしょう
明け方の空
【ビル群】
巨木から
生まれた果実
抱き上げて
高く掲げて
にこやか
明け方の
バス停で
待っていた
大きな女は
そういう女だった